中野整形外科クリニック

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マッケンジー先生自叙伝 Against the tide:11 

まだ、理学療法という科目自体が確立されていないころのお話しですね。

マッケンジー先生は、ヒトに勧められて、その気になって理学療法士に、というところだったんですか。

勉強がダメで、成績はからっきし、というのはいわゆる、よくある話というやつですかね。

遊びほうけていた大学時代、私自身の学生時代とも重なります。ああ、、、。

では師匠、今日もどうぞ、、

 

戦争が終わるころ、ダナディンにあるオタゴ大学の医学校が創設されました。1946年に大学はオタゴ病院のマッサージ学校を理学療法学科として新設したんです。

傷痍軍人らの回復を手助けするために、新しい理学療法の技術が全世界で発展していました。大学は理学療法士の職業訓練をする必要性を認めて新しい学校を作ったということですな。

私が入学することになる学校はそんなとこでした。入学申し込みが大幅に遅れたンですが、私は理学療法科秘書のジョアン・マクグラスさんに会うため、ウエリントンに呼ばれました。その当時、理学療法科へ入学する学生は皆、マクグラスさんの面接を受けることになってたんです。彼女は50代半ばの女性で、体格も知性もごっつい人でしたかいなあ。

なぜ理学療法科へはいりたいんやと訊かれまして、医学部に入れる成績やないけども、怪我したヒトらのために役に立ちたいと思てるのやと答えました。

滅私奉公さしてもらいまっせ、ちゅうような答えをしたりましたんで、これで試験にも通るやろと思てました。

実際は志願するのが遅かったンで、辞退した学生がおったからやっと入学できたようなんですけど、、、オタゴ大学に入学できてほっとヒト安心しましたわ、それが1950年の2月の出来事。

当時、ニュージーランドでも唯一の医学校やったんで、ダナディンの人々は街に大学があることを自慢に思とったようです。大学では勉強もせんならんが、社会に出る前に自分の視野を広げるようなことを、なんなとせなかあかんっちゅうていわれてました、自分探しっちうやつですかいな。私は未来への希望にうち震えておったですわなあ。

 

寄宿舎への申し込みが遅れてしもたんで、母は大学ちかくの町、ロスリンにすむデビットソン夫人に連絡をとってくれました。ちょうど他に学生が出て行ったあとだったこともあって、デビットソンさんは半年間、私を下宿人としておいてくれることになりました。

数週間して、なんで学生が出ていったンかがよう分かりました。デビットソン夫人はホンマに親切な人でしたが、細かいことに口うるさい家主やったんですな。私がパイプをふかし始めたその瞬間に、この家は禁煙やと声かけてきますんやで。また、禁酒主義者でもあって、下宿してる皆に禁酒をさせようとしてはりました。人生は、そううまくいかんもんですな。

理学療法科の学生で家探しをしているヒュー・ブラムウェルと知り合うたのを幸いに、大学のある丘の大きな邸宅に間借りを見つけて、二人で申し込みました。新しい家と、新しい友人、一歩踏み出したのがそのときでしたんや。

充分な時間も、やりたいこともいっぱいあって、勉学は二の次になってもうてました。

ヒューは中学校を優秀な成績で卒業して、主な科目では表彰されてるようなまじめな奴でした。まあいうても、彼の言うことなすこと、びっくりさせられっぱなしでした。授業が終わって家に帰ってくると彼は授業の復習を始める。一方、私はといえば、クレイグ・キャメロンとボーリング・グリーンホテルへジンやライムを呑みにくりだしてましたわ。ヒューは私が飲んだくれて帰ってきたときでも、まだ勉強してますのんや。

このお気楽な生活で数ヶ月が過ぎると、私もこのまじめなルームメイトの影響を受けたからでしょうかな、勉強せなあかんなあと思うようになってきました。従来より、理学療法教育プログラムは9ヶ月間、基礎科目を学んでから入学試験を受けるようになってまして、その試験に受かって1年目を終えられれば2年目へと進むことができる。試験に落ちれば、9ヶ月を繰り返して再試験を受けることになるんですわ。

ここらで頑張らんと、初期段階を突破でけへんということも分かってきました。試験前の3-4週間という頃になってはじめて、ブラムウェルが全てを全て以上に知り尽くしていることに気付いてあせっても、そらもうあとの祭りですわな。私が大学の入学試験の前にミル先生が私にしてくれた特別授業のことやとか、やり直すチャンスを与えてくれたことなんかを思い出してもいました。

残された数週間をすべてつぎ込んで、やりましたがな、試験に通って見事、次の段階へ進むことができたんですわ。