中野整形外科クリニック

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マッケンジー先生自叙伝:Against the tide 26

考えるマッケンジー先生、

目の前で起こった結果をどのように解釈し、どのように理論を打ち立てられたのか。

考察が続きます。

師匠、どうぞ、、、

 

私はニュ-ジ-ランドで手に入る医学雑誌に掲載されてる腰痛の記事には、すべて目を通してました。重篤な腰痛、坐骨神経痛の患者さんを手術してはる先生方の知見も得てました。

1948年にニュ-ジ-ランドで書かれた論文が私の目を引きました。ダナディン病院の神経外科医が重篤な腰痛、坐骨神経痛患者を300例以上手術して得られた発見を報告した文献でした。 Falconer,Begg,McGeorge先生らの報告で、重篤な腰痛の原因は椎間板で、坐骨神経痛の主因でもある、いうことでした。

椎間板が損傷して、治ってからも瘢痕になってしもた組織が神経を引っ張るようになってるいうことを発見した,いうんですわ。

このことから下肢に痛みが引き起こされるんですが、患者さんがある特定のポイントを超えて動くといつも痛みが誘発されるようになって,前に曲げるのも非常に制限されるようになる。

私が経験した,うまいこといかんかった2症例でも、瘢痕組織が神経に癒着しとったのかもしれませんなあ。痛みの出方のパタ-ンや、動きに制限がでとったことへの説明にはなりますわな。

組織が瘢痕化することで治癒がもたらされる一方、瘢痕組織ができあがると組織は縮こまってしまう。 数週間かかってゆっくり反応がでてくる人たちは、組織修復されてはいても腰の固さが残っていて、体の動きも制限されているいうことでしょうかな?

体を前に曲げていて、あるところまで動かすようになると瘢痕組織が伸ばされて痛みが生じる。

組織の損傷が完全に治ってるはずやけど、瘢痕組織が伸ばされんトコとして、元のとこに痛みを出すようにしむけとる、いうことですかな。

患者さんらはこうして、もともと傷んどった場所に痛みを感じつづけてはるんで、まさにそこを動かさんようにしはるんですから、そこのところをうまいこと出来たら症状を回復させることができるんやないでしょうか。

 

だんだん、パズルのピ-スが合うてきましたなぁ。

椎間板の組織はズレることがあり得るいうことです。 “Internal derangemant syndrome”とでも呼ぶのがアンジョウ良いんやないですか。

そうして,再発を繰り返す腰痛と、頑固に治らんままつづいとる腰痛の両者を、 痛みがどんな風にでてくるんか、反復運動に対してどんな反応をするのんかをじっと観察しとったら、別にX線写真なんか撮らんでも簡単に判別できるようになりましてんわ。 (CTやMRIはまだ発明されてへんかったですしねぇ)

瘢痕化した組織があるらしいような徴候がみられるのやったら、“derangement syndrome”とはまた違う対処が要りますわ。

根性いれて根気強う運動を続けてると、瘢痕が伸ばされるようになってきて、組織が新しう作りかえられるんです。 数日の経過やなくて、数週間はかかってしまいますが、納得してもらえると患者さんもがんばってつづけてくれはりますし、瘢痕組織はこういう風に作り換えられていくんやと私らが逆に教えられることもありますなあ。

“Dysfunction syndrome”いうのはまさに言い得て妙、こういうような状態にうってつけの名前やと思てます。