手術をしないことで、どんなことができるのかにこだわること、そういう道でやっていこうと決めました。
手術を否定しているわけではなく、手術をした方がはるかにメリットがある場合もあるってことは事実で、、、では果たして、そのメリットとはその人にとって何なのか?
何にメリットを感じるのかは人それぞれなわけで、診療のなかで、一番感じ取ろうと探っているのもそれです。
有名な○○病院の××先生に診てもらうことにメリットを感じられる方は間違ってもうちみたいなところには来られないでしょうけど、
願わくは、自分で動いて自分で治す、というコンセプトにメリットを感じていただける方が患者さんであって欲しいのですが、
まあ、そればかりではないですね、現実としては。
マッケンジー師匠の手術という治療法への想いには、私は共感しています。
今日も、師匠、どうぞ、、、
数ヶ月あとに、ほぼ同じ症状の別の患者さんが来はりました。
寝ている状態でゆがみを戻しても何の効果も得られんことは充分承知してました。
立ってる状態で体がまっすぐになるように、でも矯正され過ぎるトコまでいかんように気をつけながら患者さんの体を動かしてみました。
その次に体を後ろへ反らせるようにさせてみました。
ほんなら、その瞬間に痛みが少のうなった、言わはるやありませんかいな。
何回かコレを繰り返しているうちに、だんだん動けるようになって、痛みも無うなったんですわ。
立っている肢位では寝た状態とはまた異なった圧迫力がかかるため、状態が違ってくるんやないやろか、という理屈を思いつきました。
こんなように、どんな椎間板のズレやったとしても上手いこと絞りだされるように矯正すると、正常な状態に戻っていくようにできるんですわ。
同じような症状の患者さんがぎょうさんこのやり方で治ってきたので、私が発見したことをまとめて発表することにしました。
論文という科学的な形での報告としては不十分やないかと思うてはいましたが、“Manual correction of Sciatic Scoliosis(側弯を示す坐骨神経痛患者の徒手矯正)”という題のこの論文が1972年にNew Zealand Medical Journalに掲載されたんですわ。
数十年が過ぎて、患者さんらの症状と体の反応との関係がよりハッキリするようになってきました。
腰に使える治療法は頸にも使えるのや、いうことも分かってきました。
ほとんどの腰痛、頸部痛患者さんはエクセサイズを吟味し、かつ姿勢の注意をちゃんと行えたら、痛みからくる動作制限などはちょっとした期間で治ってしまいますねん。
多くの患者さんが手術せんでようなりましたし、実際のとこ、手術みたいなもんはホンマに重傷の、一握りのケ-スが適応になるだけやないんやろか、と今は思てます。
手術とは、いわば体をわざわざ傷つけてるようなもんですさかい、最後の選択枝にしとくべきやないかと思てますねん。
神経根をしっかり圧迫されとるようなケ-スはエクセサイズなんかですぐには症状とれんさかい、早いこと手術受けはるのがエエんやないかと思います。
そやけど、スポ-ツしよかいうくらい活発にしたはる人らに、リハビリなんかの手術以外の対応もろくに試さんまま、安易に手術に踏み切る傾向が増えてきとるように私は感じておるんですがどうでしょうか。
損傷を起こした部分が修復される自然治癒の徴候があるのかどうか見極めるまで、手術には踏み切るべきやないんやないかと私は思てますねん。
Kelvin Chambersで出会った、よくある問題を振り返ってみて、1965年くらいまでの私自身の進歩にはおおむね満足しておるんです。
臨床していて椎間板理論にはよう助けられましたし、実際上手いこといきましたんや。