中野整形外科クリニック

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マッケンジー先生自叙伝:Against the tide 49

今回は海の話に終始するんですが、、

マッケンジー先生の自叙伝で挟まれる海の話は、なにかの寓話かはたまた暗喩なのかと勘繰りたくなるようなものがありますね。

今回のカジキマグロや,なんちゃって遭難の件もなんだか、、、

まあ、考えすぎなんでしょうけどね。

では、師匠、どうぞ、、、

 

翌日も、最高の天候で良い風でしたが、そこですごく不思議な海の動きに気づきました。

陸から50マイル離れたような場所で乱流がみられる、いうのもあまりあらへんことですが、まるで波が砂浜に打ち寄せてるように見えるところがありますねん。

私らのおるところから、5、600ヤ-ド離れてるとこですが、この、そこだけ波が静まりきっているようにみえる場所へ船がだんだん近づいていきました。

波の向こうでは私らの航行してるレベルより、海面が2フィ-ト高うなっとるようにみえるんです。

で、その問題の場所までくると、確かにそうなってたんですわ。

それ以来、船仲間にこんな現象をみたことあるか、いうて訊いてまわってますが、誰一人ちゃんと説明してくれた人はおりませんねん。

あんなこんなで2-3日が過ぎ、風も無うなってきたんでモ-タ-をかけました。

子供らのひとりがでっかい魚が海面から跳ねよるのを見た、いいますねん。

Wellingtonを出てからヨットのうしろに垂らしとった釣り糸に、どうも魚がかかかっとるようなんです。

そのとき舵をとっていたRonがモ-タ-を止めてくれて、私はリ-ルを巻いて魚を寄せられるんか試してみましたんやけど、魚に糸をもっていかれてしもて、ほとんどリ-ルに糸が残っとらんとこまできてしもた。

Ronと私は竿を持ってディンギ-に跳びのりましたんや、その瞬間に魚が海面から飛び跳ねよった。

見えたんは一瞬でしたんやが、エライ長う感じました、釣ったんはカジキマグロやったんですがな!

Davidはモ-タ-をかけてカジキマグロと一定の距離を保てるようにしてくれましてん、私らの乗った小さなディンギ-が島の東海岸のPlenty湾の中をグルグル引っ張りまわされんようにね。

30-40分ののち、ついにカジキマグロを甲板に釣り上げましたんや、それをまた平らげるのにも時間かかりましたわいな。

こういうことの専門家に、あとで訊いてみたら、写真から判断するとBroadbillと呼ばれる珍しいカジキマグロやったそうで、ステ-キにして喰うてしまうんやのうて、陸へ水揚げすべきやったと言われましたわ。

こういうことがおこってる間中、私らは北方を旅していて、5日のうち4日は陸地が見えなんだんです。

これは計算してみると、じつはおかしなことで、海岸からせいぜい10~15マイル離れとるぐらいやからAucklandへ向けて戻るところまで大体100マイルくらいのトコロにおるはずですのんや。

ある日、空高く飛ぶ飛行機から出るジェット気流に気付きましたんや。

国際線の飛行場はAucklandだけ、いうことは知ってますわ、で、なんで私らが来た方向のずっと向こうを目指すように飛んでいくんですかいなぁ。

急に分からんようになりまして、いったい私らはどこにおるんでしょうか。

冷静に考えると、左側へ大きく舵を切るべきかと。

西に向かっているはずが、いつのまにか東海岸のどこかにおるみたいなんですわ。

48時間後、Coromandel PeninsulaのMercury湾にあるWhitiangaにイカリをおろしました。

Aucklandまで船であと2、3日、いうところですわ。

長いこと地元の警官と話込んでましたんやが、彼はSundance号こそが自分の理想とする船なんやなんて話してはりましたな。

やっと、自分らがどこにおるのんかも分かって、安全に停泊できるという噂を聞くKawau島まで航海するための食料も積み込みました。

島に着こうとするころ、大型ボ-トが近づいてきて、うちらの船の名前を見たからか、こう話しかけてきよった。

「Sundance号の諸君、君らは迷子になっているということが分かっているのかい?5時の国営放送のニュ-スを見てごらんよ、君らが行方不明だと放送してるぜ。」

とても信じられへんかったんですが、我々が遭難してるなんて誰が言うとるんですやろ?

自分らでは素晴らしくうまいこといってるように思てましたのになぁ。

Aucklandで結婚する言うてる友人がいてまして、私らがAucklandに到着したときに、時間が間に合うんやったら結婚式に顔をだすから、いうてWellingtonを発つ前に軽く声はかけてましてん。

結局、間に合わなんだんですが、不審に思た誰やらが警察に通報してしもたらしいんです。

そこから沿岸警備隊が5日間、総力あげて動いていたのが、どうもWhitiangaまではの情報は伝わってへんかったようですな、私らの船が自分の理想の船や、なんやら言うてる警官がいたはったくらいですさかいに。

私らの記事が夕刊の一面を飾りましてんわ。Kawau諸島で優雅な休日を過ごしとったこともね。

でもこれだけは言わせて欲しいんです、ヨットは正確無比の科学的なもんではないですし、たいそう危険や、いうわけでもないんでっせ。

Aucklandへはレ-スの始まる数日前に着くことができましてん。

レ-スの準備でバタバタでしたわ。

スタ-トしたのは最後の方の順番で、ゴ-ルしたんも、なんともはや、べったのまんまでした。