中野整形外科クリニック

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伊藤先生のMDT/マッケンジー法臨床実習体験記、一問一答①

2019 年に Diploma program を履修し Diploma 認定資格を取得致しました。

Diploma program の 臨床実習地の⼀つである Dundee (スコットランド) での様⼦を報告させていただきます。
私の体験が少しでもお役に⽴てれば幸いです。

Q: Credential と Diploma program の共通点と相違点は?
Diploma program では何を新しく学ぶのですか?

<中の注>国際マッケンジー協会の認定資格には、Credentialとその上級資格であるDiplomaの2種類があります。
日本でも開催されている、通常のpartA-D講習会を受講したのち、試験に合格すると得られる資格がCredentialであり「マッケンジー法のことをわかっている人」という区分になります。
私(中の)が取得したのは、この資格です。
Diplomaは「マッケンジー法をしっかり使いこなすトレーニングを受けた人」という区別になるのかと思っております。

Credential講習会では MDT の根幹となる概要を学び、Diploma program ではさらに深く 実践を学ぶ機会が得られたと思います。
MDT の分類⽅法や loading strategy(反復運動や姿勢保持を主体とする介⼊)を⾏うプロセスは同じですが、
Diploma program ではさらに、初回のアセスメントからその後のフォローアップを今後どう構成するかという、「治療の設計図」を描く練習をしました。

MDT 評価表の記載事項であるボディーチャートに記された、
症状の分布や現病歴、悪化・ 改善因⼦などの問診情報をもとに、
最初に除外しうる MDT 分類を暫定的に除外した上で、
可能性が⾼い MDT 分類を絞り込み、反復運動検査や姿勢保持検査を⽤いて確定してゆく differentiation(鑑別)を⾏います。

おそらく⻑年臨床で MDT に親しまれている先⽣⽅にとっては、当たり前のように実践さ れている治療のプロセスだと思いますが、
私にとっては、「治療の設計図」に従い、ruling out(除外)しながらアセスメントを進める⽅法は新鮮でした。

ひたすら DP 探しに終始して苦しんでいた頃に⽐べると、
現在は冷静に、可能性がなさそうな分類や運動⽅向を除外しながら( ruling out)、淡々と核⼼(暫定分類)に迫ってゆく⾯⽩さがわかるようになったと思います。

<中の注>MDT/マッケンジー法では、病態を素早く、良い状態に変化させる、特定の運動方向がある、というものを directional prephalence(DP)と表現します。
良い反応をするものが見つかれば、それを続けていくと良い状態へ変化していくことが期待できるので、セラピストはDPを探そうとするのですが、「DPがどうやっても見つからない地獄」に陥ってしまうと、
マッケンジー法ってダメじゃん、臨床じゃあ使えんっ、てな認識になってしまいがちです。
あくまでもMDTとは文字通りMechanical Diagnosis and Thearapy:カラダに、運動などの機械的(mechanicalな)負荷をかけることで、得られた反応を考察し、病状を診断(diagnosis)し、それで見出された運動指導にて治療 につなげていく(therapy)という方法であって、mechanicalには良い反応が見つからないことも、当然のようにあります。
しかし、病状を分類することで、どのような治療につなげていけばよいのかは、わかります。

症状をとる、痛みを消す、のではなく、
病状を分類し、評価することで自分のカラダの問題に対処し、
さらに自己管理につなげる、
それがMDT/マッケンジー法の目指すところです。

理学療法⼠は各々に個室が与えられています。
“理学療法”という専⾨職領域が尊重され、かつ専⾨職として独⽴していると感じました。

電⼦カルテは UK 国内の全 NHS の病院 とつながっており、他院で並⾏してどのような検査や治療を⾏なっているか、次回の GP 予約⽇、過去の治療履歴も即座に確認できますので、serious pathology(重篤な病態)の可能性がある場合は、治療の状況を把握するのに⾮常に役⽴ちました

<中の注>GPとはGeneral Practitionerの略で、日本でいう、かかりつけ医を意味します。
診察を受けたい時は、登録したGPに予約をし、受診します。
日本では、例えば発疹がでれば皮膚科に、耳に異常を感じれば耳鼻科に行くなど自身で病院を選択しますが、イギリスでは違います。
どのような症状でも、まずはGPに行き診察してもらうようです。

初回、ちょっと長くなりましたが、ここまで。
次回へ続きます。

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書いた人:伊藤博子先生
編集した人:尼崎市のはずれ、川ひとつ越えるとそこは大阪市西淀川区、の中野整形外科運動器リハビリテーションクリニック 院長 中の