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マッケンジー先生自叙伝:Against the tide 47
忍び込むマッケンジー先生、
徒手医学学会が医師限定になっているというのは、なんだか不思議な感じがしませんか。
日本の現状では、徒手的治療を医師が行う場面はそうあるもんでもないでしょうからね。
やるヒトはやってる、というとこなんでしょうけど。
ヨーロッパの医者は日本とは事情が違うのか?
会議に忍び込むのは、まるでスパイ大作戦のようでした。
ヨ-ロッパ徒手医学学会は、理学療法士が学会に出席するのを認めはらしませんねん。
John Ebbetts先生は私の名前のあとにMNZSPと記載して登録し、自分からは理学療法士やと名乗らんかったらエエのとちゃうか、とのアドバイスをくれはりました。
事務局はニュ-ジ-ランド手技療法学会の会員やから、出席を受け入れてくれるやろ、ということなんですが、、、実際、その通りでしたわ。
Joyと私はLondonから、John先生と奥さん、英国の派遣団の先生方らとともにMonacoへ旅立ちました。
皆さん、私を歓迎してくれはりまして、フランス協会組織への目くらましっちゅう、とてつもない冗談みたいな話やなぁということになってましてん。
とはいえ、初めて会場で映像を流したとき、画像の端のほうに理学療法士のクリニックにしかあらへんような器械が映っとるのを指摘した人がおって、当時のフランスの協会の会長さんやったRobert Migne先生は不満げでしたんやけど、特になんのおとがめもなかったですわ。
学会への貢献を評価してもろて規則違反を黙認してくれはった、いうことですかいね。
私のセッションは有名なアメリカの医師James Mennell先生と同じ時間帯にされてました。
そのせいか、私の発表に興味を持って集まってくれはったのはちょうど20人、一方Mennell先生の方はというと、隣のメインホ-ルで200人ですわ。
会場の事務局の人が、翌日にもう一度発表してみいへんかと声をかけてくれはりました、今度はメインホ-ルで、です。
たまたま協会の理事をされてる方が、私の8mmホ-ムビデオの映像を観てくれはったらしく、もっと多くの聴衆に観てもらうべきもんやと言うてくれはったらしいんです。
腰痛を扱うセラピストならよく遭遇する状況で、即時効果を得られる手技、という噂が会場中に広まっとった、ということでもありました。
前日とは打って変わって200人もの聴衆が私の発表を観に来てくれはったんです。
隣のMennell先生のとこは今度は20人かそこらやったらしいですけどね。
このことがあって、ヨ-ロッパでもある程度関心を持ってもらえることを確認しましてんけど、観てくれはったことの意味を、どれだけの先生方がホンマに理解してくれてはるのかいうと、まあ、怪しいもんですわな。
ありがちな印象としてはこんな感じですやろか、痛みがあるために体を斜めに傾けている男性の体を、理学療法士が無理矢理ねじ込ませるようにしてると、2-3分したら傾いとった男性の体がまっすぐになって、痛みが無くなったからかしてニッコリ微笑んどるっちゅう、まあそれだけの映像ですわ。
映像だけで私らがやってることの理論やら方法やらが、ちゃんと伝えられるかっちゅうと、そら無理ですわなあ。
Monte Carloの会議に参加したはった医師の先生方の中で、痛みがcentralizationすることの意義や意味をしっかり理解できた方は、いてはらへんかったんやないですかな。
背骨がらみの痛みについて、診断として信頼に足り、なおかつ治療という意味でもよい結果が得られるようなやり方は、科学としての医学では説明できるモンでもないですからね。
私にはcentralizationがその答えなんや、と分かってるんです。
そやけど、それを伝えていくには単に映像だけではのうて、実際にやってみせるようにせな伝わらんのでしょうなぁ。
私はホンマにCyriax先生、Ebbetts先生には深く感謝してますねん。
彼等がいたはる英国では急性側弯変形を徒手矯正する方法としては、私がひきあいに出されるようになってますのやから。