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お知らせ・ブログ

伊藤先生のMDT/マッケンジー法臨床実習体験記、一問一答④

 Q:Diploma program で DP を⾒つける技術は向上しましたか?

Dundeeでは、「Derangement は rapid change(早い変化)が得られることが前提だから、 2 回⽬、3 回⽬で変化がない場合は loading strategy が適切でないか、もしくは暫定分類が違う可能性があるよ」と指摘されました。

暫定分類が曖昧なまま介⼊を継続してしまう要因として、初回時のベースラインの曖昧さ を指摘されました。

症状の訴えをベースラインにするだけでなく、アセスメントシートに記⼊する ERP/PDM の有無や ROM 制限の確認が再現できる⽅法で、ベースラインを取るようにと指導を受けました。

<中の注>ERP(end range pain)、PDM(pain during motion)とは、

運動検査の際に、動作の最後、最終域で痛みが出るのか、途中で痛みが出るのか、ということを示す言葉です。

どういう痛みの出方だから、どういう分類になる、という判断材料にもなる評価ツールのひとつでもあります。

ROM(range of motion) 、可動域という意味ですからROMの制限、とは、可動域制限ってことです。

患者さんの言われる「良くなってる、悪くなってる」に一喜一憂して、効果判定とするだけでなく、状態の変化を客観的に捉えるようにしましょう、ということを述べられています。

そういう変化を捉えることができるベースラインを設定することが大事、ということですね。

 

初回の介⼊時に適切にベースラインが取れていないと、2 回⽬、 3 回⽬のフォローアップで loading strategy による変化を追えなくなり、分類困難な状況に陥るのです。

MDT にとって分類は、loading strategy をどう組み⽴てるかを検討するために必要不可⽋ です。

もし分類が⾒えてこなければ介⼊の⽅針が⽴たず、

「やってみたらどうだろう?」と いう、⼀か⼋かになりやすいと思います。

 

<中の注>これ、新米MDTセラピストにはよくあるピットフォールです。

やってみてダメなら、それとは逆の方向を試してみよう、など、ひたすらDPを見つけようと無駄な努力(運動検査)を繰り返した結果、ワケがわからなくなることを戒めています。

反らしてダメなら、次は曲げてみる。それでもダメなら回旋?、おおっつ、どれもダメだ、、、マッケンジー法って使えねえなあ、、、なんて。

分類することを意識しながら運動検査をすすめることが重要ポイント!なんですね。

そして、そのためにベースラインをどう設定するのかがこれまた重要と、

これ、非常に示唆に富んでいます。

 

「治療の設計図」をしっかりと描くために、初回に differentiation(鑑別)を前提としたベースラインをとることが⼤変重要だと実感しました。

DP を⾒つける技術というより、ベースラインの取り⽅が改善されたことで、DP の有無を判定し易くなったと思います。

関節運動検査の例(外返しの場合) ⾃動運動(左)、他動運動で ERP の確認(中央)、抵抗運動で PDM の確認(中央) 各関節の関節運動検査を、全⽅向2、3 分間以内で実施する練習をしました。

ルーチンに⾏う習慣をつけた事で、思わぬベースラインが取れるような場⾯が増えました。

 

<中の注>この辺が、アートの領域にもなってくるんでしょうか。

DPを見つけるためにどのようなワザを繰り出すのか、それが技術なのか、経験則なのか。

はたまた、セラピストの資質なのか。

 

これに関連する、かもしれない話で、ちょっとヒトコト。

MDT/マッケンジー法といつもわたしは併記していますが、

意味するモノは若干異なっていると考えています。

SympathyとEmpathyという言葉の違いが、それに相当するんじゃないかと。

Google先生によると、それぞれの言葉の意味は、

Sympathy: 相手のつらさや悲しさを理解する

Empathy: 相手の立場に立って、相手の気持ちや経験を理解・共感する、感情移入する

とあります。

前者がMDTにあたり、後者がマッケンジー法に該当すると、わたしは勝手な自分基準で両者を区別しています。

MDTはシステマティックに、患者さんを淡々と評価する方法、、、であることを意味する。

マッケンジー法という呼び方をするのは、、、さらに認知行動療法的な方法論+αが加味されたものを称する、

私はそう、捉えております。

同じMDT/マッケンジー法を体現しているセラピストでも、

このどちらかの要素のブレンド率が異なって、治療の現場では全く違う様相を呈している、、、

なんてぇーのがあるのじゃないかと、感じております。

実際、講習会での講師のデモンストレーションをみていると、

そういう違いが見え隠れして、

これはまた、なんともいとおかし、と一句詠みたくなります。

 

さらにつづきます。

またしても伊藤先生の記述より、「中の注」が多くなってしまいました。

ついつい、、黙ってられない、、、。

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書いた人:伊藤博子先生

編集した人:尼崎市のはずれ、川ひとつ越えるとそこは大阪市西淀川区、の中野整形外科運動器リハビリテーションクリニック 院長 中の

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