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伊藤先生のMDT/マッケンジー法臨床実習体験記、一問一答⑤
Q: はるばる Dundee まで⾏って良かったと思えることは何ですか?
⽇本国内でも学べることは⼭ほどありますが、
⽇本と異なる NHS の医療システムの中で、 MDT の実習をすることは⼤変意義があったと思います。
中の注:NHSとは、英国の国民保健サービス、National Health Service の通称です。
NHSでは、医療従業者はそれぞれの専⾨領域によって役割分担が明確でした。
例えば、神経学的所⾒により神経内科での精査が必要そうだと判断すれば、すぐ専⾨領域の部⾨へ紹介しますし、
膝装具のヒンジが調⼦悪いと相談に来院される⽅は、すぐ整形外科へ紹介し PO(義肢装具⼠)へつなぎます。
⽇本の職場であれば、
軽い⿇痺があっても診察や評価をした上で介⼊することに問題なければリハビリテーションを実施することもあるでしょうし、
ちょっとした装具の不具合なら⼯具を使って修理をすることもあるので、役割分担の徹底ぶりに驚きました。
Jenny先⽣によると、
⼀⼈でも多くの患者様へ理学療法を提供するためにも役割を明確にする必要があるとのことで、
医療サービスは公の資源であるという認識の強さを感じました。
⽇本の職場では、レントゲンや MRI の画像は⾃分で読影できる範囲で参考にしますが、
Dundee では読影専⾨機関からの報告書が絶対で、
Jenny 先⽣から読影報告書の内容を越えて理学療法⼠が⾃分で判断するべきものでは無いと⾔われました。
それぞれの専⾨家のスキルも⾼いこともありますが、訴訟での責任問題に発展することも想定しているそうです。
(理論編では MRI 画像を⽤いた症例ディスカッションはありますので、まったく不要というわけではなさそうです)
実習病院の理学療法科は、
患者様の症状が理学療法の範疇で対処できるものなのか、他の専⾨家に紹介すべきなのかを調べる部⾨として位置付けされていました。
MDT 分類に応じた エクササイズで対応できると判断した場合は、
セルフエクサイズを決定して指導し、症状の 改善傾向が確認できた時点で卒業でしたが、
OTHER のサブグループに分類されたケース に対しては、
理学療法⼠の判断でレントゲン検査や MRI 検査のオーダーを出して、読影報告書を確認しますし、
diagnostic injection(検査のための注射)でステロイド注射もします。 (注射は卒後研修要)
例えば、動かすごとに worse になる肩のケースに、
John 先⽣が画像診断をオーダーし、レントゲン画像で所⾒を認めない場合はOTHER-Frozen shoulder と分類して⾃動介助運動によるエクササイズを指導しましたし、
⽯灰化を認めたケースには diagnostic injection(検査を⽬的とした注射)としてステロイド注射をしました。
注射後は、症状軽減があった⽅と、変化がなかった⽅に分かれましたが、
症状軽減が⾒られたケースには、再度メカニカルに評価した上で⽅針を検討し、
注射しても症状が変化なく、⽣活に⽀障があるような疼痛を訴えるケースには薬剤師を紹介していました。
<中の注>Otherのサブグループに分類、という言葉がでてきました。
これまでの注にも言及していますが、MDT/マッケンジー法では病態を運動検査によって分類します。
分類することで治療方針が定まります。だから分類することが重要なのです。
病態はDerangement,Dysfunction,Posture,それ以外のOthers、4つの分類に分けられます。
さらにつづきます。
注釈、少な目、これが本来のあるべき姿か。
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書いた人:伊藤博子先生
編集した人:尼崎市のはずれ、川ひとつ越えるとそこは大阪市西淀川区、の中野整形外科運動器リハビリテーションクリニック 院長 中の