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マッケンジー法 パートDを受講して
マッケンジー法 パートDを受講して
マッケンジー法とは??
[腰痛や首の痛み、手足の痛みなどで悩む人が、自身の問題を自らが主役となって解決すべきであるという哲学です。自らが主役となって自身の問題を解決する自助論として、世界中の患者や臨床家から信頼され活用されています。]
パートDに関しては、頚椎・胸椎の応用 上肢の評価についてでした。
今回私はマッケンジー法講習会において初めてデモ患者さんの見学ができました。
こちらの患者さんは2日間来ていただきました。
問診情報について
その患者さんの症状は前日にダンスをされていて人を背負うような体制を取った際に痛みが強くなったという経緯でした。
主訴(本人の訴えは)寝ているときが痛い 横を向く動作 座っていると痛い
希望は首が弱いため強くしたい 痛みを取りたいとのことでした。
どういうときに痛みがでるのか?
メール 携帯を触っている時 背中を丸めた姿勢 首を動かす時が痛い
どういうときがましなのか?
姿勢を良くした時 動いている時
首を痛めたことがあり 以前も同じような感じで首を痛めたことがある
その時は三点倒立で首を痛めたとのことでした。
痛みの場所は?
痛みは肩甲骨の間の少し上のところ
理学初見について
頸部の伸展 制限は重度 痛みもあり
頸部側屈 左右とも痛み 左>右 で制限
頸部回旋 左右とも痛み 左>右 で制限
頸部屈曲 痛み軽度
姿勢指導について
初日はまず姿勢の調整から始まりました。
姿勢調整は患者さんは伸ばしている方が楽ということだったので、
椅子の上にタオルを引いて骨盤が起こしやすくなる状態にします。
続いて背中を伸ばすような意識をさせます。この時の安静時の痛みは変化はありません。
続いて肩甲骨を内側へ引き寄せるように指導されていました。
この姿勢に変えたときに痛みが少しましになっていると発言がありました。
あとは背中にタオルを入れることで背中を丸めにくい状態を作ります。
これでさらに安静時の痛みがましになっていました。
マッケンジー法の考えとして姿勢を悪くして痛みが悪化している・強くなっているのであれば反対に姿勢を良くしていく状態を長く取るように工夫していきます。そうすることで負担が軽減して改善が早くなることもあります。
運動検査について
リトラクション (首を後ろへ引っ込める体操です。)
その体操をしたあとでは少し右が向きやすくなる以外は痛み変わりなし
可動性の変化はありませんでした。
このリトラクションに関しての体操は講師の先生は5種類ほど活用されていました。
他に挙げると
・タオルを使ってのりトラクション これもいくつか固定の場所を変えながら実施
・首を後ろから支えてのりトラクション
・手で背中を押さえながらリトラクション
これらをやってみましたが、少し右回旋 振り向く動作の可動性が↑ 痛みが少し軽減になりますが、左回旋 左無理向き動作 側屈 左右差倒す痛み 可動性の変化はそれほどありませんでした。
運動の回数はそれぞれ7回程度です。運動最終に痛みが出ていた体操もありました。
最後にやっていた体操が首を自分の手で持ち上げてのりトラクションでした。
これが他の体操に比べて一番いい反応がでて 左右回旋 振り向き動作の痛み↓ 可動性↑もあり本人もこれが一番楽といった感じがありました。
初日に関しては、一番運動後の反応が良かった首を自分の手で持ち上げてのりトラクションを講師の先生は選択をし、自宅で自主トレーニングをやって頂くよう指導をされていました。
二日目について
二日目来られたときは痛みが軽減しているという状態でした。
頸部伸展可動性↑↑ 痛み↓ 軽度制限
頸部回旋可動性↑ 左右とも痛み↓可動性↑
頸部側屈可動性↑ 左右とも痛み↓可動性軽度↑
安静時痛はほぼ消失 痛みじゃなく重だるさに変わっている状態でした。
今は振り向き動作が気になるが、寝ているときはましという状態でした。
二日目に関して
来院時において頸部伸展可動性がかなり可動性↑ 痛み軽減であったため
どうやって首を伸ばしていくのかというところに焦点を絞って体操を進めていました。
まずは椅子にもたれて手を背中に当てて首を後ろへ体操体操です
この体操のあとは安静時の重だるさが↓
頸部回旋可動性↑ 左は軽度 痛みは残存 右は楽になっている
側屈は左側屈の可動性 痛みが変わりなし
頸部伸展の負荷を強めるように少し講師の先生が首の介助をしながら頸部伸展の体操を実施
そのあとも頸部右回旋可動性↑ 痛み↓ 左回旋軽度可動性↑ 痛みは少しましかな程度 側屈は左の痛みは変わりない 可動性少し↑の状態でした。
ここからバリエーションを変えて
仰向けで首をベッドから出した状態で首を後ろへ動かす体操を試みましたが
患者さんは痛くてできない状態でした。
ここで講師の先生が首を補助しながら後ろへそらす(ベッドの下に下ろす)体操に切り替えてやってみました。
首の牽引をかけた状態で頸部伸展を行うのであれば痛みはなくいっぱいいっぱいまで首を後ろへ反らすことができましたが、牽引を緩めると強い痛みが走りました。
牽引をかけたまま頸部伸展を促したあとでは、安静時座位での症状はほとんどなし
頸部回旋可動性も↑ 左右とも 痛みも↓ 側屈可動性↑ 痛み軽減となっていました。
本人さんも今が一番楽といった状態でした。
翌日からのマネジメントについては
首を後ろへ倒す体操です。
1つ目は座った状態で背中首を後ろへ倒す体操
2つ目は仰向けに寝て背中に巻いたタオルを挟んで空間を作り首が反れる状態を作り背中に刺激をいれる体操
3つ目は一日目で行った首を後ろへ引っ込める体操
この3つを指導されて二日目は終了しました。
見学を通して学んだこと
これからの展開として必要なことは、この患者さんはダンスで首を痛めていますが、趣味程度のダンスではなくハードなダンスをされているため、予防としての体操が必要になり、今後としては首の痛みが再発しないような体操・ケアの仕方を指導していかなければならないと講師の先生が言っていました。
この見学で学んだことは、首の体操1つや2つで効果がなかったから、その体操をやめるのではなく、問診患者さんから得た情報から必要だと感じた体操であれば、方法をいくつか検討して反応を確認していくことの重要さがわかりました。
この方の場合であれば背中を丸めた状態だと痛みが強くなる 背中を伸ばしたほうが痛みが楽、携帯を触っていて首を前に倒すと痛みが悪化
ダンスでは首を曲げた状態で負荷がかかることが多い、特に痛めたきっかけが首を曲げた際にグッと負荷がかかった時という情報から首の牽引をかけたほうが負担が下がるかもしれないという予測が立てられていました。
これらの情報から、首に関しては牽引をかけた状態で伸ばしたほうがいいという確信に近い根拠があったため、1つや2つ運動で効果がなかっても工夫をすれば変わるという自信があるように感じました。
自分がマッケンジー法をする上では情報をどう集めてどのように解釈するのか、その情報をもとにどんな体操を提供していくのかを工夫するように今後は実践していきます。
質問のところで私が講師の先生がなぜ首を後ろへ動かす方向性がいいのかについての根拠をお聞きしたろこと
理由については、本人が座ったまま背中を丸めているのがつらい。
背中全体を伸ばしている方が楽になるという発言が問診のところで見受けられたのですが、その発言が本人が強く強調していたように感じたと言っていました。
マッケンジー法においてどの運動方向が悪くてどの運動方向が良いのかを考えていきますが、数の根拠を挙げるのではなく本人がどの体制をしていると楽になるのかについて、こちらが感じ取っていくのもセラピストの役割なのかと感じました。
患者さんの意思が感じ取れると本人がやってみたい方向性の運動が見つかり自宅でのマネジメントも上手くいく可能性が高いのではないかと学びになりました。
マネジメントについては本人にやってもらう必要があるため、患者さんが納得しないと上手く行かないことが大半です。その失敗はマッケンジー法を実際やっているときに痛感しているため、こういったやり方についても今後は実践していき、より良い治療に繋げていきます。