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マッケンジー先生自叙伝 Against the tide:12

未来への希望に打ち震えて大学に入学したはいいが、理想は続かず、易きに流れるのは世の習い。

学生時代のおバカエピソードは今回も続きます。

では師匠、どうぞ、、

 

ダナディンでの理学療法科のカリキュラムは英国で行われているシステムを手本に作られてました。エニド・ゴッツとグエン・ヒスロップら教師が英国から赴任してきていました。

主要科目は解剖、バイオメカニクス、運動療法でして、超短波装置のような電気手品のからくり器械みたいなモンの扱いも習いました。そないな器械やなんかは、今から思たら患者の治療には何の効果もあらへんし、ただ組織を傷めとるに過ぎへんのですけどね。

当時の理学療法科の部長だったゴッツ女史はよう目立つ人でした。背が高うて、いつもピシッとした姿勢でいたはるので、彼女がだらけたようなところを見た者は誰もおらんかったでしょうな。

立っていても、座っていても、だらけた姿勢でいることは、彼女の目には犯罪行為と同じようにうつっていたんでしょうかな、噂に過ぎんのかもしれませんが、そのために学生で退学させられた者がおったか、おらんか、というような話もありました。

彼女の姿勢についての強迫観念のようなモンは、私も影響をうけました。それこそが私が学んだ中でも一番大事なことなんやと、今では確信してますわ。

 

20歳台の学生ならみんなそうやと思いますが、私は自分が選んだ分野以外のことも広く学んでいました。ちゃんと学生をやってましたが、いろんなことに手をだして、友達もぎょうさんおりました。 ようパーティーがひらかれてまして、ビール代が学生の出費の大方やったんやないですかいな、町の真ん中にあるブラウニーおばさんの店が私らのお気に入りの呑み屋で、いっつもはめをはずしてましたなあ。

日曜もですけど、法に定められた閉店時間のあと、「パブ」にしけこむのもオモロかったんですわ。 ホンマにそうやったんかは確かめようもないことですが、閉店時間が過ぎると客がみんな帰りよったんか警官が店に確認の電話をしてきよる、法を遵守しているのかを確認、それすなわち法を守らすことや、なんて感じやったんでしょうか。バーのマスターはさっと腕を払って、私らがおった形跡をバーカウンターから消し去って、パブの裏にある納屋へ入るように私らを急き立てました。私らは、いつものことやさかい、つべこべ言わんとオンボロ納屋へ移動するンですな、そこへ重い鎖と南京錠とがガチャンとかけられますのや。私らはそこにおって、歌いだしそうになる奴らを静めながらバーのマスターが錠を開けにきてくれるまで面白がって何時間も笑うてましたな。

すばらしき日々、ちゅうやつですか。 もちろん、私らは、ベロベロに酔うてました。

足元がふらついたままの千鳥足で家へ帰った日曜の晩のことを思い出します。

ある家の玄関でちょっと一休みしようとしてたら、 見回りの警官が懐中電灯で通りの店やらの玄関を照らしながら、道の逆側からやってくるのに気付きましたのや。逃げ出したい気持ちと、もし見つかったら罪に問われるんやないかっちゅう恐れで、どうぞ警官が私に気イつかんとそのまま行ってしもてくれへんか、なんて祈りながらうずくまっておりました。

フト見たら、こらまたエライことですがな、空の酒ビンがすぐそばに転がっとるんです。と、そのときに急にその「物的証拠」が懐中電灯に照らし出されましたのや。

酒ビンと私は不幸な巡り会わせでたまたま一緒になっただけですわ、と言い訳したのが効を奏したんかどうかは分かりませんが、警官は私が一人では家によう帰られんと思たんでしょうな。タクシーを呼んで、このバカ学生が、なんでことをブツブツ言いながら私を座席に押し込めて家に送らそうとしてくれました。

私は有り金をぜぇンぶ使うてしもて一文なしやったんで、しゃあないから、後日、署まで払いに来なさいや、いうて警官が運転手にお金を払うてくれましたのや。

翌朝、感謝をこめて警察署に出向いてちゃんと払わしてもらいましたがな。子供の頃にマスタートンで2ペニーを盗まれた時に警察のお世話になったことも思いだして、さらに彼ら制服組への信頼を深めました。

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