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マッケンジー先生自叙伝:Against the tide 31
peripheralising(痛みの末梢化)の発見。
これもまた、患者さんの症状を徹底的に追っていったからこそ、とらえることができた現象でしょう。
失敗からも何かを得る、そして新しいものを作り出す。
症状が良くなる人はcentralizationしていた、悪くなる人はperipheralisingしていた。
結果としてそうであっても、その両者を結びつけてはなかなか考えられないものだとは思いますが、どうでしょう?
あとから考えると、当然のように感じてしまうことではありますがね。
革新者の仕事をあとから振り返ると、なんでもないことのように見えるのは世の常というやつですか。
で、また、失敗もありますねん。
患者さんらはみんなが良うなったんでもなかったですし、エクセサイズで逆に症状がひどなることもありましたんや。
失敗が挑戦を生むんですわな。
坐骨神経痛や下肢に痛みが広がっているような腰痛の場合、痛みが移動するのはたいてい同じパタ-ンをとるいうことに気ィ付きました。
はじめは腰の真ん中あたりから始まって、ひどくなってくると片方に広がってくる、次いで臀部、下肢へと下がってくる、言うてはりますわ。
坐骨神経痛の患者さんで、ぜんぜん良うならん人らがいたはりました。
気ィつけてへんと、すぐに悪なりはるんです。
臀部や下肢に痛みが移動していく徴候がみられたらすぐにエクセサイズを止めんといかん。
全てを注意深く記録し、分かったことは、私らはエクセサイズを通して痛みをcentralization(中心化)させようとしてるワケですが、それとちょうど真反対の事が起こっとるのやないか、いうことですわ。
椎間板のズレが段々とひどなって、坐骨神経を圧迫するようになって症状でてくるようになっとるんでしょううか?
やとしたら、正中のラインから離れていくように痛みが移動するのは、状態が悪なっとる、いうことですわ。
椎間板のズレがひどなってしまうと、元には戻らんようになるんですやろか?
その変わり目を見極めるのはとっても大事なことで、体が伝える警告、ないし安全警報のようなもんですわ。
エクセサイズしていて、もし患者さんが痛みが中心から遠ざかるように広がる、ないし下肢に痛みが出てくるなんや言い出しはるとしたら、そのまま続けとってはいかん、いうことですわ。
このことを“peripheralising pain”(痛みの末梢化)と呼ぶことにしました。
痛みがperipheralized(末梢化)するような動きは避けなあかん、そのかわりcentralized(中心化)していくような姿勢なり,動きなりをするようにしていったらエエんです、と今は自信をもって患者さんにアドバイスしてますわ。
これらの出来事は全て椎間板の動きだけで説明できる現象やと、経験を積むほどに確信するようになってきましした。
そうやって私の実験は続いてきましたし、患者さんひとりひとりに教えられるようにして多くの肢位やエクセサイズのやり方、その組み合わせなんかを発見してきたんですわ。