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マッケンジー先生自叙伝:Against the tide 45
船の話が続きます。
ガッカリ、落ち込んでる暇などないのです。
前進あるのみ、いろんな意味で。
では、師匠、どうぞ、、、
半年のあいだ、ニュ-ジ-ランド海運局の夜間学校に通って勉強して、ヨット達人への切符を手にしました。
私らはクリスマスから新年にかけての数週間を入り江で過ごす計画をたてました。
教室で学んだ操船方法は完璧ですわ。
クリスマスイブの朝、我々6人はWellington北部のParemata港から船を出し、大いに盛り上がってました。
目指すはQueen Sharlotte入り江、約20マイルの航海ですわ。
ホンマのこと言うと、実際の操船についてはなんの知識も経験もあらへんのに船の運命を私一人が握っとるっちゅうことを実感してきて、びくびくしとったんですけどね。
とはいえ、いったん帆をあげると、絶好の日和の中、なんの問題もなく海峡を通過していきました。
日没まぎわに到着、イカリを下ろすのにちょうどエエ場所を探しました。
1時間ほど海図とにらめっこして私らがどこにおるのんかやっと分かりましてん。
湾の問題なさそうな場所を見つけて、どうやったらイカリを下ろせるのんか迷いましたわ、まず係留ブイを下ろしてそのそばに、と。簡単簡単。
上手いこといったのに大満足で、ブイをしっかりひきました。
初めての船中泊ではちょっとしたトラブルはありました。
ガススト-ブに灯りをともすのに大奮闘で、なんとか点火器具を見つけました。
船上での初めての食事をとって、ベットに滑り込みましたわ。
子供らは、いつものようにを朝早うから起きて甲板をバタバタ走り回ってました。
船室のハッチを開けてDavidが言います、「父さん、岸からだいぶん離れてるよ」。
アホなこと言うもんやない、と返事しながらあわてて窓の外を見たんです。
すると、ホンマに海岸から遠く離れたところに流されてるやないですか。
反対側も見てみましたが、こら、エライこってすわ。
まあ、さし当たって命の危機に瀕している、ちゅうほどのモンでもないんで、アンカ-ロ-プを引き上げてみました。これがあがってきませんねん。
はじめてのつまづきに躊躇し過ぎていると、船長としての自信喪失につながってまうのやからな、と自分に言い聞かせて、私は船をつなぎ止めてるロ-プを切り離しました。
すぐに船首が2-3フィ-ト上昇し、、、ちゅうことはロ-プの端に何かが引っかかって重りになっとったんで、船が下に押し下げられとったということでしたんやろか。
誰も見てへんことを祈りながら、いち早くエンジンを始動させてサッサと移動しました。
何があかんかったんか、よう分からんかったんですが、よう考えると、係留を強く引きすぎとったんでしょうかなぁ。
干潮やったんが、だんだん潮が満ちてきてSundance号は押し上げられるようになって、海底に下ろしてある係留用のブロックも一緒に持ち上げられるようになってしもてたんですわなぁ。
私らの船は、風の向くまま、潮に流されるままの状態やったんです。
当日の夜はほとんど風がなかったのは幸いでしたわ。
教訓を得ました、船を係留する時は満潮になるときのことを考えて、鎖を充分緩めとかんとアカン。
私が受けた講習では、実際、係留する際に実際どうしたらエエのんかまでは教えてもろてませんでしたんや。
これは、これからの長きにわたって、入り江や海で私らを待ち受ける大冒険の単なるはじまりに過ぎんかったんでした。