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マッケンジー先生自叙伝:Against the tide 60
腰痛は姿勢や体の動かし方の癖との関係が強いので、
腰痛を繰り返す、という人は、
そういう自身の癖をいかに変えていくことができるか、という問題に直面せざるを得ません。
なんとか頑張って自身の癖を克服したようにみえても、
またどこかででてくるのが癖なので、
われわれが腰痛を治しても、また同じ問題で戻ってくる患者さんは多いのです。
いかに患者さんが自身の身体を自己管理してもらえるようにもっていくのか、
マッケンジー法が目指すのはそういうことです。
患者教育、という点では、
本の出版は当然の帰結でしょうか。
では、師匠のハナシに聞き耳を、、、
1979年のある日、講演で合衆国を初めて訪れてから2年くらいした頃でしたか、Wairarapa大学時代からの友人、Hugh Priceが私のウエリントンのクリニックを訪ねてきました。
ひどい痛みに身をかがめながらね。痛みが強すぎてまっすぐ腰を伸ばすこともできへんような状態でしたわ。。
典型的な、側弯を伴う急性腰痛でした、、、1968年に私がヨ-ロッパで学会発表した例のやつです。
Hughは知り合いから、大学時代の旧友である私が、腰痛治療でなんやら頑張っとるっちゅう噂を聞いて、はるばるやって来た、言いますねん。
訊くと、これまで少なくとも25回以上、腰痛の再発を繰り返しとるっちゅうやないですか。
痛みが強すぎて、1ヶ月以上、寝たきりになったこともある、いいますねん。
それが、私の治療をうけて、たった1日で彼は体がまっすぐにできて、痛みも無くなったんです。
例によって彼にも注意書きを渡したんですが、これから自身の体をどう管理していけばエエのか見通しがついたと、ホンマに喜んでくれました。
実際、それからの10年では1-2回調子を崩したくらいで、今まで年に2-3回再発しとったのが嘘みたいや、いうてましたわ。
HughはPrice Milburnという、主に子供向けの本を手がけている出版社を経営してました。
いちいち注意書きを患者さんごとにに書いて渡すのが面倒でかなわんって私がこぼすのを聞きつけて、彼は本を出してみいへんか、いうて誘てきました。
私がやってる治療について、患者にする指導、注意せなあかんこと、なんかについてのね。
私自身、本を書くような時間がとれるんかよう分からんかったですし、自分に文章を書く才能があるとも思えんかった。
細大もらさず説明さえしてくれたら、自分がまとめて本にしたるわ、いうてHughが勧めてくれたんで、ホンマ、感謝、ですわなぁ。
そうして1979年にkelvin Chamberのクリニックで私が患者さんに渡しとった注意書きを、ひとまとめに携えて、
Hughはシドニーで丸一週間、缶詰になって本を一冊書き上げてくれましたんや。