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伊藤先生のMDT/マッケンジー法臨床実習体験記、一問一答⑨

 Q:⼼理社会的側⾯に対してどう対処するのか

 

社会⼼理的側⾯が症状を遷延・悪化させていると思われるケース(yellow flag)においては、

MDT 以外の評価をしておくと、

後に DPが⾒つかりメカニカルな介⼊で症状が改善した時に、

社会⼼理的側⾯がどう変化したかも確認できます。

疼痛は残存しているとしても、

治療に対する満⾜感や⾃⼰効⼒感が得られるといった側⾯も評価することができます。

最初に患者様の全体像を把握し、

Yellow flag の要素が覆っているような場合は、

いきなりメカニカルに介⼊することが妥当かどうか、

動かしながらアセスメントするならどういう⽅法で介⼊するのが妥当かを考えなさいとアドバイスをもらいました。

10 歳代の頃から全⾝が痛くて、⽣活や仕事に差し⽀えがあるという 50 歳代の患者様を担 当しましたが、

初回、2 回⽬、3 回⽬と、ご⾃分の症状や破壊的な思考について延々と話をされるので介⼊に苦慮していました。

4 回⽬に John 先⽣が業をにやし、

過去の症状を整理した上で「⼀つお願いがあるんだけど、⽴って反れるだけ反ってみてくれない?」と⾔いました。

患者様は「反った時に痛い」というと、

John 先⽣は「反るとどうなると思う?」と聞いて いました。

How do you feel? (どう感じますか?) の代わりに What do you think you would be? (どうなると思う?) と聞くことで、

患者様がエクサイズに対して受け⾝の姿勢ではな く、

「反る」という動きでどんなメリットがあるかを⾃分で考える、

⾃分の⾔葉で表現できるきっかけを与えていました。

 

John 先⽣の指導。

Big picture(全体像)を⾒なさい。

患者様が来院したら、

Red flagsや疾患の合併症の確認、

Illness behavior(疾病⾏動)、

Pain mechanisms(神経障害性の疼痛など)、

メカニカルな介⼊で治療困難なものがないかを確認し、

その上で simple MDT(メカニカル)に評価ができるかどうか を判断する。

社会⼼理的要因があったり、患者様のキャラクターによって は、

コミュニケーションがうまくいかず、アセスメントや治 療がうまくいかないことを、

「霧がかかったような状態」と表現していた。

霧が晴れない状態でメカニカルな評価を強⾏しようとしてもうまくいかないことを認識し、

霧が晴れるような⽅法を模索して取り組むようにと指導された。

 

中の注:今回の内容、こういうのを目にすると、

つくづくMDT/マッケンジー法ってぇのは、

患者さんが自分で、自身の状態を理解し、それをどのようにマネージメントしていくか、ということに特化した理学療法のやり方なんだな、と感じます。

当然、MDT/マッケンジー法以外の分野の方でも、このようなやり方でリハを進めていく方もおられるんでしょうけど、

この内容を、方法論としてガッツリ組み込んでいるリハビリのやり方ってぇのには、他にお目にかかったことがありません。

私の浅薄さゆえに、知らんだけかもしれませんがね。

注釈ではなく、コメントでした。

 

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書いた人:伊藤博子先生

編集した人:尼崎市のはずれ、川ひとつ越えるとそこは大阪市西淀川区、の中野整形外科運動器リハビリテーションクリニック 院長 中の

 

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