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伊藤先生のMDT/マッケンジー法臨床実習体験記、一問一答⑪
Q: MDT で考えるとは?
Dundee の実習中に、病理病態で考えようとする私に、
Jenny 先⽣が ”Think the MDT way”(MDT で考えなさい)と修正をしてくれました。
例えば、Tendinopathy(中の注;腱の痛み、障害) の部位に関連して、
Patella を CD Extension と呼び(中の注:この辺の内容は,知りたきゃ講習会を受けてください)、
症状の変化を Traffic Light Guide で判定するにあたり、MDT の表現を使えば良いだけで、
⾏っている⾏為⾃体は、理学療法からかけ離れた概念というわけではないとアドバイスをもらいました。
私は、「MDT で考えると…」というフレーズを聞くと、MDT は通常の理学療法とは違うものだと受け⽌めがちでしたが、
Jenny 先⽣のご指導を通して、
MDT は理学療法⼠が、個々の患者様に合った治療法を⾒つけるためのノウハウなのだと受け⽌める事ができる様になりました。
また、治療者側が可動域の改善を根拠に「よくなっている」と判断したとしても、
患者様本 ⼈が感じている痛みなどの主訴が改善しておらず、セルフケアも励⾏できない状況では、
「MDT で考えると」それは介⼊としてうまくいっているとは⾔えないだろうと Jenny 先⽣から指摘されました。
患者様本⼈が⾃分の症状を理解し、⾃分で改善に導こうと思える様になる事が絶対不可⽋であると指導されました。
患者様を待合エリアから診療室の⼊り⼝ まで案内する間に⾃⼰紹介をして歩⾏の観察をしました。
<中の注>セラピストがみていて、よい経過をたどっている/良い反応がでている/状況がよくなってきている、と判断しても、患者さんが、「全然良くなってない/変化がない」と感じている、という場面は臨床ではよく経験することです。
制限されていた可動域が拡大しても、痛みが残ったままだと、「なーんも、変わってへん」と言われる、今日の患者さんも言ってられました、そういえば。
動き方が良いように変わっていくと、それに伴ってでてくる痛みも段々と変化をみせるだろうとわれわれは予想しますし、実際、どんな痛みがでているのかを患者さんに確認すると、最初に訴えられていた状況とは全く違う種類の、場所の、痛みを訴えられて、痛みがあるから効果でてないのよ、と言っておられることも、まま、あります。
(最初に言われていた・・・というような痛みって、今は残ってないってことですかね?と問うと、
そうですけど、でも、まだ・・・の痛みがありますから、と違うゴールを提示されるんです)
でも、そういう、外からみているからこそ判断できる変化を患者さんに指摘しても、
「だって、まだ痛いの、変わらないし」なんて答えが返ってくるだけなんですね。
アレキサンダーテクニークではこういう状態にあるヒトのことをエンドゲイナーと表現されています。
「すぐに効果を求める人」、ありていに言ってしまえば、「慌てる乞食」と超訳したいのですが、これには様々に異論が噴出するかも。
MDTとは、「個々の患者様に合った治療法を⾒つけるためのノウハウ」の集積、とする卓見、
これ、そうか、そうだよなあ、とナットクです。
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書いた人:伊藤博子先生
編集した人:尼崎市のはずれ、川ひとつ越えるとそこは大阪市西淀川区、の中野整形外科運動器リハビリテーションクリニック 院長 中の