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伊藤先生のMDT/マッケンジー法臨床実習体験記、一問一答⑫
Q: いつまで end range を⽬指さなければならないのか
<中の注>end rangeまでの動きがでて、はじめてはっきり良い反応と言えるだけの変化がでる、ようなことを実臨床で経験してしまうと、
MDTセラピストは「動かせる範囲をしっかり動かす/反復運動で動きを拡大する」のを「良いもの」と考える傾向はあり、
わたしもこれまでずっと、
エクセサイズは「動かせる範囲をしっかりend rangeまで動かす/繰り返すとだんだん動きが広がっていくように」と患者さんを指導するのを是としていたのですが、
end rangeまで動かさないとはっきりした良い反応が出ない、ということろにこそ問題があるのではないか、
という伊藤先生のご指摘に、ハッとさせられましました。
そういうことを踏まえて、これから先をお読みください、、、。
MDTセラピストには非常に面白い話なんですが、一般の方向けにはどうか?
それには、なぜ end range まで動かすことが必要なのかを考える必要があります。
Differentiation(鑑別)のために、end range (中の注:最終域)まで動かした場合にどのような反応を得るかを 確認することが必要です。
ただし、end range までしっかりと FP する(中の注:force progression,つまり、運動の負荷を強めていく)のは、
Traffic Light Guide で Greenっぽい Amber で経過している時や、
Amber が続いている時ではないでしょうか?
(中の注:動かせる範囲を最後までしっかり動かすように運動の負荷を強めていくのは、判断基準となるtraffic light guideでは青信号に近い黄色信号か、黄色信号が続いて、良いとも、悪いとも言えない反応が続いている時だと、言われています)
Worse でも end-range を⽬指すことで better になることがあるという、経験に基づいた判断は Traffic light Guide に沿った考え⽅ではないので、注意が必要です。
(中の注;悪い反応が出ているけど、頑張って、もっと、もっとと運動を続けていると良い反応に変わってくることがある、というような経験をすることがあるかもしれませんが、それはMDTの本道ではない。trafific light guideはちゃんと守りましょう、ということです)
もし結果的に better が得られたというのであれば、
worse でもやり続けた事で better になったのではなく、
実は、base line が⼗分にとれていなかった可能性があるのではないでしょうか。
ある症状が worse でも、他の指標として base line をとっておけば、
better な反応が得られていた可能性があるのではと、アドバイスをもらいました。
(中の注:悪い反応がでていても、根性一発で頑張って続けていると良い反応に変わった、というのではなく、良いか悪いかを判断する基準(base line)を別のものにしていれば、もとより、また違った判断になって、当初からbetterと判断できてたんじゃないか?、それがために、続けていると良い結果が得られたってことなんじゃないか、と。)
⽅向 A で end range までなかなか到達できない場合は、
他の⽅向 B に動かした際の反応をみることで、
本当に⽅向 A が DP と考えられるのかどうかを確認することができるでしょう。
(中の注:腰を伸展方向に動かし続けて黄色信号、これでいいのかなあ、この方向がDPだって確証、ないよなあ、、というときに、その逆の、腰を曲げる運動負荷検査をすると、赤信号。よし、じゃあ、伸展方向でいいってこったぁなぁ、つづけてやってみようっ!てことがあります)
differentiation(鑑別)が⽬的で end-range を⽬指すケースは、
ERP(中の注;end range pain 最終域で生じる痛み) が反復運動検査にお いてどう変化するかを確認する作業ともいえます。
(中の注:本当にDPなのであれば、ERPも性状が変化したりするはずですもんね)
そう考えると、
場合によっては⻑期に及んで”延々と⼀⽅向”の end range に固執する必要はないのかもしれません。
End-range とは何かを定義しようとした場合に、
これ以上動かせない範囲が疼痛によるの か、恐怖⼼によるのか、単に可動性が乏しいのかによって定義が変わる可能がありますが、
患者様と理学療法⼠が協⼒し合うことで得られるもの(range)と⾔えそうです。
(中の注:これ、すっごく深いことを言っておられるんですけど、MDTセラピスト以外の方に、、、分っかるかなァ~、分っかんねぇ、だろうなぁ~。)
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書いた人:伊藤博子先生
編集した人:尼崎市のはずれ、川ひとつ越えるとそこは大阪市西淀川区、の中野整形外科運動器リハビリテーションクリニック 院長 中の