お知らせ・ブログ
伊藤先生のMDT/マッケンジー法臨床実習体験記、一問一答⑬
Q:理学療法⼠としてのトレーニングもしなさい
MDT セラピストであっても、
理学療法⼠として当然⾝につけなければならないスキルは習得する必要があると John 先⽣に⾔われました。
患者様の反応を⾒ながらメカニカルに評価することは MDT の cardinal feature(主要な特徴)の⼀つですが、
それは、MDT の評価だけをしていれば良いという意味ではなく、
理学療法⼠として知るべき知識や経験は積みなさいとのことでした。
⽩い紙を渡され、頸椎から⼿指先にわたる神経の⾛⾏を描くように⾔われたり、
環軸関節の 脱⾅のメカニズムや、頸動静脈の⾛⾏も描くことによって、
神経所⾒をとる意味や、重篤な 病態への理解が深まると⾔われました。
MDT の安全性を保証するためにも必要だとのことでした。
OTHER subgroup を分類した場合に、
そこで MDT としての介⼊が終わるわけではなく、
引き続き理学療法を⾏う必要があります。
中の注:Othersの分類は、MDT分類できない、というほかに、
現状ではMDT評価としての結論は不明、というのも含まれます。
解剖学、組織学をはじめとした基礎医学や、病理 病態に対する知識があって、
その上で MDT が活きるのだと指導を受けました。
OTHER に分類された場合でも、
ストレッチングや筋⼒トレーニング、マッサージなどの Conventional treatment(従来の治療法)を⾏いつつ経過観察しながら MDT アセスメントを実施していると、
いつしか DP が⾒つかるかもしれないと考えます。
そのためにも理学療法⼠としての臨床⼒を磨く必要があるとアドバイスを受けました。
中の注:今回のおはなし、しごく当たり前のことかと思いきや、
MDT馬鹿ともいうべきか、愚直にMDTの評価で患者さんの状態変化をひたすら追っていると、
解剖学的な知識が評価を曇らせるような気になってくる瞬間があります。(わたしはありました)
現在の徒手理学療法の流れとしては、
解剖学的な知識にのっとって、エコーの情報などもふくめ、それぞれの組織への働きかけを徒手的に行って、
病状の変化を探ることを第一義に、というのが主流かと思いますが、
逆に解剖学的に説明できない病状については、お手上げになってしまったりもしますし、
解剖学的に考えると、この負荷のかけ方は良くない/意味がない、など、実際に変化を確認をする前に、確認すること自体にブレーキをかけてしまったりしてしまって、
良い変化を得られる機会を自ら狭めてしまったりすることもあるかと。
一方、MDTはというと、
カラダの動き方や症状変化を捉えて、何をすればよいのかを考えていく方法論なので、
解剖学的な知識の詳細がなくても、患者さんの状態が変わっていくのを捉えて、「治療」できてしまったりするんですよね。
そのくせ、どうやっても、なんにも変化がとらえられない状態では、次の一手に苦慮することも少なくありません。
エコーの技術革新が進んで、いままで見えなかったものが見えるようになって、
注射をするときにも、対象を逐一目で見て確認しながら、針をすすめるようなことができるようになりました。
これまで経験則のみで行っていたブロック注射も、格段に精度を高めて行うことができますし、
この組織のこんな動きを、こんな状態を、エコーで確認して、注射で変化させたりするような対応も可能となり、
整形外科の保存療法は大きく変化しました。
そういう観点から患者さんのカラダをみると、
解剖一辺倒でも、MDT馬鹿でもその評価の質は今一つで、
解剖学的な理解を基礎において、動きの評価をそこに載っけてやると、大幅に視野が広がるように実感しています。
今回の伊藤先生のお話から、そういう知見を新たにしました。
と、ともに、またしても本文よりも注釈が長くなってしまって恐縮至極にございます。(というドラマのキャプションが、昔あったような、、、恐悦至極、だったか?)
_________________________________________________________________________________
書いた人:伊藤博子先生
編集した人:尼崎市のはずれ、川ひとつ越えるとそこは大阪市西淀川区、の中野整形外科運動器リハビリテーションクリニック 院長 中の