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MDT/マッケンジー法症例検討会 9月① 腰下肢痛の腰野サン
国際マッケンジー協会本部では、ケーススタディ用の教材を提供しています。残念ながら日本語バージョンは販売されていないのですが、ケーススタディの練習問題がありますよということをご紹介しますね。
私がディプロマプログラムを履修した際に、シナリオトレーニングというのがあって、いろんな症状のモデルケースを使って、MDTのアセスメントのフローというか、アルゴリズムというか、基本のカタを練習しました。
私自身が、学習の沼にはまってしまった時に、このやり方で、すっきりとMDTを理解することができましたっていうのを、ぜひご紹介できればな…っていう趣旨です。
で、MDTで、私たちはDPを探して、つまりDerangementを探してかかるっていう感じで訓練をしていきますけれども、シナリオトレーニングではDerangementであることをより明確にするために、他の分類を蹴落としてゆくっていうような、要は、ふるいにかけてって、最後に残ったコレとコレで、例えば、Derangementとあと何かな?って感じで比べつつ、絞り込んでいく感じです。
今日、今回ご紹介するのが腰野さんっていう方ですね。70歳の男性。
最近まで仕事をしていたんですけれども、退職後、のんびりと家で過ごすようになりました。運動不足になるから、家族に walkingぐらいしなさいよって言われて過ごしてらっしゃるっていう方ですね。
で、まず最初に評価表をお渡しをしていますが、 このボディチャートから除外できそうなものっていうのはいかがでしょう。ここで除外を。
Postureと脊柱のDysfunction
はい、そうですね。ありがとうございます。
この辺はもうスムーズになりました。
Posturalはね、やっぱ局所で、脊椎のど真ん中でボって出ますっていうところと、
やっぱ局所で出るっていうとこから、PosturalとDysfunctionを消していただけました。
Dysfunctionの括りの中のANRはまだ捨てずに置いとく、でよろしいでしょうか。
MURまだ捨てられません。このボディチャートからね。
仙腸関節のDerangementも捨てられないし、
まだ何も触ってないし、動かしてないので、これらのものはまだ取っておきます。
これを、この腰椎のDerangementとその他のものを、もうカシャカシャカシャとふるいにかけて、よりDerangementであるっていうことの確認をするために、 他のものを捨てていくっていうような作業に入っていきます。
最初の頃はね、痛いのは腰だけだったんだけど、太ももにまで痛い。
今、 足まで広がっているんです。
この情報から何を、 ,除外できる分類はありますでしょうか? 症状は1年前からで、悪化しています。
悪化してるんだ。要は変化があるというとこから、さっきあったリストの中から思い出して、なんかこれはあり得ないだろうなみたいな、、、
ANRですね、悪化していかないんですね。痛いのがずっと続いているんだけども、 症状がどんどん広がっているっていう表現にはちょっと怪しいだろうってことで、順位をどんどん下げてってANRが下の方に降りてきました。
ANR:神経根癒着と神経根症状は別っていうことですよね。 神経根癒着ではないよねっていうことですよね。
根症状は否定はできない。
根症状は、まだあります。根症状とANRをなんとなくね、 100%同じものだと捉えるとわかんなくなるっていうのをね、だいぶ前にも私たち、話をしました。
ANRという癒着が関連したものと、そうじゃない根症状っていうのをちょっと分けて考えるっていう感じの作業。
最初から1年経ってるってこと。他にどの分類、除外できそうでしょうか。
Otherの中で、外傷とか外傷からの回復段階っていうのは
ちょっと順位を下げてってもいいかなって。圧迫骨折とかそういったものはちょっと下げていいかなっていう感じ。後ろに下ろしてきます。
次に全ての症状がこの方,間歇的だっていう情報から、他にどの分類が除外できそうでしょうか。
MURをちょっと悩むところではあるんですけど、、
ええ、そうね。
ちょっと自信がないですね。
でもいい線いってると思いますよ。
MURの特徴ってなんでしたっけ。
メカニカルな、その、Betterな反応が出ないっていうところと、 この間の話だと、何ヶ月か経って痛みが減っていくこともあるだとかっていう風な話とか。
そうですね。注射のタイミングなんて話出ましたよね。
MURっていうのが、何やっても変化がないし, 悪化する。
どんな動きをして、よかれと思って一生懸命やってあげるのに、どれやっても良くならない、 いい方の変化が出ないっていうものをMURっていう捉え方になって。
なので、
間歇的か持続的か、持続と間歇っていう中でMURってなかなか決めきれないんですね。
なぜかって、MURは動きに反応する かどうかって話になので。
なので、MURに関しては、持続的であればMURっていうことは、ありますよ、
急性期のヘルニアってビャーンと下肢に痛みが出てるような時。
持続的か間歇的かって言った時に、MURを持続的だと決めつけると迷うことがあるかもしれませんので、 MURってのは一生懸命尽くしてるのに何にもね、見返りくれないよねっていうような感じのキャラクターだなっていうイメージで 捉えていただければなと思います。
で、特に持続的な症状っていうと、
MDTの中で言われるのは、重篤な病態,とかの分類と、あと炎症とか外傷とか、ケミカルな発痛物質が関連したような痛みの時に、持続的っていう風に考えてもいいかなっていうとこです。
なので、間歇的ってなった時に、炎症はちょっと除外できるかなっていう感じでいいと。
脊椎炎とか、要は感染による、 腰痛だったり下肢症状って滅多にみることないんですけど、稀に病院に勤めている時にはいらして、、、
下肢痛が出るかどうかはちょっと微妙なんですけど、腰痛はなんかちょっと おかしな腰痛っていう感じですよね。普通ではちょっと考えつかんようなパターンの痛み方を訴えたりしますね。安静時痛ってのは言われますし。
そうですね、はい。
ちょっと普通とは違うっていう感じで、調べると、MRIとるとおおっ、みたいな感じで。
滅多にないとはいえ、ゼロじゃないですね。
持続的な症状がなければね、除外してっていいかなって。
逆に言うと メカニカルに評価続けていいよっていう、安心材料とも言えるかもしれないです。
次、誘発増強、消失緩和のところご覧になっていただいて、 これでDPの当たりがつくでしょうか?
屈曲DPっぽい感じですかね。
屈曲DPは、どこらへんで?
歩行で悪化っていうところと、坐位が消失緩和なんで
悪化っぽいなって感じですかね。ちょっとこの長時間座った後の立ち上がりっていうのが嫌ですけどね。
これは伸展を匂わせるんで、これさえなければ屈曲かなっていう、屈曲一択かなっていう感じはします。
そうですね、なんかこう、嫌ですよね、
これだけなんか邪魔する情報かなって、迷わしてくれるなっていう。
さすがですね。やっぱそういったとこ、ちゃんともう触角ビビってなるんですね。素晴らしいですね。 あとはね、 よく言われるの。こっちが屈曲方向の情報、これが立ち上がりからここら辺が立位の情報を 要は伸展方向の情報に、これが非荷重の情報っていう感じで構成されてるんですけど、
実際どうです?
どっちをって言われて、これはもう絶対、伸展すよって感じの気分になりますか?
事前で読ませていただいた印象としては、先ほどの先生と全く一緒の印象を持ってました。
本当にもう全く同じ印象を持ってました
そうですね、本当にこういう患者さんが結構いるってことも踏まえてですね、います。ここで整理しますね。
で、実際皆さんも首かしげてらっしゃる通りで、この段階ではまだ不明ですってとこでいいと思います。
どうしても誘発状況とか消失緩和で 決めてかかりたくなるんです。
どうしてもDP屋さんになっちゃうので、探したいので、どうしても。
ただ、この段階では不明ですよっていうとこで、さあどうしようってところに入っていきます。
じゃあ、 歩行で悪化するっていう情報がありますので、
追加で聞いておきたい質問とかっていうのは なんか思いつきますでしょうか。
歩くと痛いっていう患者さん。
MDTだと伸展方向のね、動きだよって感じになるんですけど、
狭窄症が、まあぼんやりとですけども、この人、下肢痛じゃないですか。で、歩行で痛い。
で、しばらく歩くと痛いですってなってきたら
なんとなく狭窄症の症状なのかどうかっていうのはどっか頭の片隅に置きながら、狭窄症じゃないことを、 なんて言うんですかね、調べていく、もしくはDerangementではないことを、確信を持って狭窄症っていうとこに 落とし込むっていう感じの、そういうような逆説的な使い方をしていくとした時に、
同じ距離で痛むのかどうかとか、あと、そのままちょっと歩き続けるとと痛くなるんですか、それともちょっと良くなるんですか?
ここら辺になってくると、 座った人が立ち上がって、最初は痛いんだけども歩いてるうちに良くなりますよなんて言ったら、もうこれちょっと伸展のDP あるのかなって、なんか匂ってくるのと、あと、これが、仮にですよ、ちょっと余談になりますけど、
腱の症状が、股関節とね、関連して出てくるようなタイプだと、腱の症状って 使ってるうちに楽になる、なることってありますよね。
腰でもなんでも。そういう繰り返し繰り返しやってると、どうですかっていうところもやっぱ聞きたい ですね。
歩くと痛いですって、大抵のお医者さんはね、歩行痛って、間欠性跛行で狭窄症って短絡的に言うんですけども、もうここら辺は絶対ね、どうなのって訊いて欲しいんです。
歩いてる時に腰が痛くなるのか、足が痛くなるか、両方なのかっていうので、 範囲が広がるのか、それとも歩いた方が こっちの方に寄ってくるのかとかっていう範囲をね、末梢に行くのか、中枢に行くのかっていうのを聞いていきます。
なので、歩行に丸がついた時にはよしゃっとなって、DP探しだけでなく他にも、毎回同じ距離で痛みが出るっていうと、 循環が関係した間欠性跛行っていうのを拾っといてあげないと、最終的にOtherになった時に、やっぱね、「15分ぴったしでやっぱり痛くなるみたいなんです。歩いても痛いし、自転車でも痛いって言ってます」…って言ったら、もう精査に回さなきゃっていうこともあるかもしれないね。
そういった目線で聞いて差し上げるってのもいいかもしれないし、毎回同じ距離で痛みが出て、1万歩歩くと痛いんですっていう人と、1000歩、10分で大体1000歩ですから、
1000歩,歩いて痛いんですって人の場合は、やっぱADLの生活の中の 能力というのはもう格段に違ってくるので、日常生活が最低限営めるであろうと言われてるような3000歩とか4000歩っていうのが 要はクリアできない方だと、生活にやっぱり影響が及ぼしてるんだなってことで、早めにやっぱりね、ドクターと連携取らなきゃいけないなって方もいらっしゃるかもしれない。
なので、どれくらいの距離でとか、何分でって聞くと、 リハビリでいらしているたんびに何千歩、何千歩って聞くと、それがまたベースラインで指標になったりってことになるかと思います。この辺なんか付け足すことありますでしょうか?
何千歩って言って答え帰ってきます? あんまりこう、何千歩、何歩数でっていうのはあんまり聞いたことがなくて、 やっぱり時間とかをで聞いてしまうんですけどね。時間、距離でしか聞かないんですけど、
大体1000歩で10分ぐらいっていうので換算するかなっていうことと、あと、 意外とモバイルでね、歩数気にしてる人いたりして、
スマホで測ってるとか、そんなんですか。
あとは、家からコンビニは行けるなんて話したら、その人の住所聞いて、近くのコンビニ聞いて、距離で測って、 今日何歩ぐらいだねっていう感じで、フィードバックしてあげたりとか、そんな感じにしたりでしょうか。
便利になったな、時代が。と思ったんですけど、 やっぱりね、怖いのはやっぱり神経症状がばーっと急に悪化するようなことがないようにっていうのは拾いたいなっていう、
特に足部にまで症状がある場合でしょうか。
歩行、移動って考えた時に、自転車やったら大丈夫っていう人がいてはるので、DP探しになりますけど、自転車とか大丈夫ですか,みたいなのは聞くかもしれないです。
確かに自転車の移動との違いっていうのは聞いて差し上げるのすごく大事かなと思うのと、
狭窄のことも絡みでいくと,,,
そうですよね、実際、ガイドラインっていうか、整形外科の診察で、狭窄症っていうのは自転車は大丈夫とか、自転車でも出るっていう検査って一般的にされるんでしょうか?
一応、教科書的にっていうか、研修医向けの講演とかがあると、 歩くと痛みが出てくるけど、自転車やったらなんぼでもいけるっていう話が出たら、 それは狭窄症だねっていう風に決めつける。決めつけ診断のキーワードになりますね。
ありがとうございます。はい。ドクターがそういった目で見てるよってことは、私たちが知ってることすごく大切なので、
じゃ、自転車で大丈夫だったっていう時に、じゃあもしかして屈曲DPなのかなっていう目で見て、やっぱ違ったとなるのかどうか。でもやっぱり、 見方がね、変わってくるかなと思います。
どうもありがとうございます。
狭窄症、すごいですね。なんかもうカオスですね。
やっぱり重篤なものが入っているのでね、それはやっぱり なんでもかんでもやってやろうっていうんじゃない世界があるんだなってことは、ちょっと心の片隅に置きながらってと思ってます。