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マッケンジー先生自叙伝:Against the tide 41
そうそうたる理学療法の巨人たちを巡る旅、
エライ先生方の施設ではいったいどのような素晴らしいことが行われているのか、
師匠でなくとも、そら、誰でも知りたくなりますよ。
では、師匠、どうぞ。
第7章 長い旅のはじまり
1968年,まだ私の治療法がニュ-ジ-ランドでまともに受け入れられなんだころ、私は手術以外のやり方で首、腰やら、脊椎がらみの治療をしてはる専門家と認められてる先生方のところを世界中旅して、片っ端から訪問して廻ってみたろうと思いたちましたんや。
実際、そういう先生方らがどんなことをやってはるのか、この目で見てみたかったいうのもありますし、どこいらの誰かさんがcentralizationという現象をもう既に発見したはって、私らと同じような治療をすでにやったはるに違いないと思とったんです。
私が今、確立しとるテクニックに新しい情報やら手技やらを付け加えることが出来るのやったら、背骨がらみの問題での治療いうことでは、他と比べてグッと抜きんでたもんになるんやないか、なんて思てたんですわ。
Joyのお許しも得て、我が家を抵当に入れさせてもろて14週間の旅の資金を捻出しました。
Joyと4人の子供らを残してそんだけ長い旅に出るのも初めてのことでしたわ。
まず、Bourdillon先生と会うためCanadaのVancouverへ飛びました。
次にMotrealのHarry Farfan先生に。
そしてUSAではJames Mennell,Stan Paris先生方。
LondonでCyriaxとStoddard先生方。
OsloでKaltenborn先生、ParisではMaigne先生に、戻ってくる途中でAdelaidでMaitland先生にと。
このそうそうたるメンバ-と話してハッキリしたことは、一流とされる彼等のうちでも、最終可動域までの反復運動の効果やcentralizationという現象について認識している人が誰もおらなんだということ、さらには誰も知ろうともせんかったということですわ。
英国ではまずはじめにJames Cyriax先生のところ寄せてもらいました。
椎間板と腰痛の関連について、私が注目するきっかけを作ってくれはった先生ですわ。
先生のクリニックを訪れはる患者さんの治療現場もみせてもらいました。
6週間か、それ以上かけて治療したはる人らもいたはりましたが、私やったら1日2日で治せるかも、と思うような症例も少のうなかったんです。
クリニックのセラピストが徒手治療しはる様子を3週間見せてもらいましたが、彼等がやったはることっちゅうんは私がはるか昔に、その方向性はナイわなあ、と思とったやり方ですのんや。
勇気を振り絞って、御大に私が持参したフィルムを観てもらわれへんやろか進言してみましてん。
New Zealand Medical Journalに1972年に掲載してもろた、脊柱の側彎偏位を来した坐骨神経痛患者さんので、患者さん本人がでてるやつですわ、そんなのは世界初やったんやないですかなあ。
Cyriax先生はかなり興味を持ってくらはって、腰痛に関する彼の著書の次の版で私が行った手技を取り上げてくらはるとまで言うてもろたんですが、フタ開けてみたら私の手技は間違うて紹介されてまして、こら治るべき患者さんも治らんようになってまうわなあとあきれてしまいましたわ。
Cyiax先生は急性側弯変形に対する私の治療法を持ち上げて、エライ喜んでくらはったんですが、ご自身の椎間板についての考え方に基づいて、そこから派生してきたモンやったから、いうだけのことやったんかもしれんですね。